楷塾ブログ

贈る言葉

楷塾々生諸君と御父母様へ

 日頃より楷塾の指導に対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 中学三年生につきましては本日をもちまして授業が終了致します。長く付き合いがあった生徒は三年、短い生徒では半年。その間は楷塾の厳しい生徒として一所懸命に勉学へ励む姿を見ることができ、背中を押す役目の私どもはいつも励まされる日々でした。難問に立ち向かいながら今にも折れてしまいそうな顔、己の不出来さ具合に後悔の念が滲む仕草、知古辣を食しながら巫山戯あった風景、怒声を浴びながらでも首を低くしてやり過ごせるようになった塾生の視線。この文を書きながら私の脳裏には多くのことが蘇って来ています。
 御父母様におかれましては尚更のこと、ご子弟が受験の荒波を越えられるにあたり心労を重ねられたことと存じます。大変ご苦労様でした。本日発表されました都立高校の入試結果はご子弟たちが精いっぱい頑張ってこられた結果で御座います。楷塾生らしく苦みをぐっと噛み締め、安易、又は安きに流れず、自分の深い処に野望を抱え込んで挑んだものです。どうぞお子様の労を労って上げて下さい。
 予てからお話申し上げています通り、彼らが成長し、迎える日本の社会は、若者人口が極度に減少し、華美と無知という鎧冑に草花を付け、金座銀座を闊歩した蒼い者どもが、足腰の立たぬ老醜を晒し、片や世界という榧の外では米中の立場が逆転し、あってはならぬ雨風が彼らに降りかかっている事でしょう。こう云う現実は死臭紛紛であろうと、そうでなかろうと、安直な薄化粧をほどこし、事実を糊塗する現代の日本の政治がつづこうとつづくまいと、必ずやって参ります。
 楷塾は国立で開塾して以来、「はげ親父の躾と勉強」の号令下、子どもだけには何ものも惜しまず向き合ってまいりました。今後も大きを快しとせず、孤高を胸に秘め、篤く学働に励む若者が集う場としてやっていきたいと考えております。どうかご子弟たちはご卒業されますが、今後とも変わらぬご指導とお引き立てを賜りますようよろしくお願い申し上げます。

平成三十一年三月一日
楷塾老塾頭

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